森と まち

研究開発課題 03

森とまちのカーボンストック
推進

Forest and city

カーボンストックを実現する
新たな建築・街づくりの推進

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、森林の適正な保全・管理と森林資源の効率的な利活用への「期待」は、それらを確実に実行する「義務」へと変化してきている。その結果、「森」の有する生態系サービスの1つである木質資源の供給サービスは、森林の循環的利用によるカーボンストック機能の面から新たな価値を生んでいる。
また、「森」から供給される木質材料は「森」から切り離された後も建築物等として長期間利用されることで、

「まち」におけるカーボンストックの増大に寄与することからその再評価が期待されている。本研究開発課題では、「森」の4次元森林情報を利用したゾーニングを基盤として、森林管理の精緻化による「森」のカーボンストックの定量化に取組むとともに、「まち」のカーボンストックを実現する新たな建築・街づくりのための木造建築部材・構法の開発とその活用デザインの提案を行う。

研究内容

炭素固定能力の最大化に向けた森林管理

森林の現在価値は、木材生産から得られる原木価格で評価されていますが、カーボンクレジットや企業のCSR活動への貢献、その他の木材生産ではない活動を森林の未来価値として見出せるポテンシャルを持っています。本課題では、航空レーザー計測や森林GIS等を利用した新たな樹高成長モデルの開発を通じて、木材生産に適した土地に加えて、炭素固定(カーボンストック)に優れた土地の区分けに取り組みます。林業採算性と炭素固定能力を共に評価することで、森林の未来価値の最大化を目指します。

<秋田型>都市木造建築の提案とストック利活用のための工法・建築プログラムの開発

新築だけでなく、鉄筋コンクリート(RC)などの木造でない建物にも木材を取り入れて活用するためには、技術の開発だけでなく、地域住民にその利点を理解し受け入れる機運を盛り上げ、既存ストックの建物を木材で活用する流れを作ることが重要です。本研究では、能代市の中心にあるRC造の空き店舗を使い、3つの大学が使うサテライトスペースを作るために内装木質化等の改修を行い、その効果や影響を調べます。

木造建築の可能性を広げる木質耐火部材の開発

木造建築の可能性を広げるため、耐火性能を持つ木材や、ライフサイクルを通じて環境への負荷が少ない木材・工法の開発を進めます。これには、部材の種類を増やして理論的に検証することや、部材や施工のコストを抑える工夫、普及を促進するためのガイドラインや設計・施工マニュアルの整備が含まれます。また、開発した木材や工法の建築物としての性能を評価し、LCA(ライフサイクルアセスメント)による環境性能の評価も行います。

ローテク・ローコスト・ローカル型マスティンバーの開発

国産広葉樹のダボや地域産スギを用いたDLT (Dowel Laminated Timber)や木釘を用いたNLT (Nailed Laminated Timber)など昔ながらの接合技術(ローテク)で、かつ、環境負荷が低く、かつ、製造コストが抑えられ(ローコスト)、地域密着型(ローカル)でスモールスタート可能なマスティンバーを開発します。

課題リーダー

板垣 直行の写真

板垣 直行

Itagaki Naoyuki

秋田県立大学
システム科学技術学 教授

「まち」のカーボンストック推進に向けた
新たな木質構造部材や工法の開発

2050年のカーボンニュートラル社会の実現において、炭素を吸収し、固定する役割の多くを担うのは、やはり森林とそこから生産される木材であると考えられる。これにより、森林の木質資源の供給サービスは、カーボンストック機能の面から新たな価値を生んでいる。一方、生産された木材を長期にわたり大量にストックするものとして、建築もまた新たな役割を期待されている。

このために、森林の適正な保全・管理と森林資源の効率的な利活用は“義務”であり、それを建築などの形で 「まち」にストックする方法の開拓は“必須”である。本研究開発課題では、「森」の4次元森林情報を利用したゾーニングを基盤として、森林管理の精緻化による「森」のカーボンストックの定量化に取組むとともに、「まち」のカーボンストックを実現する新たな建築・街づくりのための木造建築部材・構法の開発とその活用デザインの提案を行う。

メンバー

  • 小杉 栄次郎の写真

    小杉 栄次郎

    Kosugi Eijiro

    秋田公立美術大学 美術学部
    教授

    サブリーダー

  • 高田 克彦の写真

    高田 克彦

    Takata Katsuhiko

    秋田県立大学 木材高度加工研究所
    所長 / 教授

    リーダー補佐

  • 櫃間 岳の写真

    櫃間 岳

    Hitsuma Gaku

    (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 森林植生研究領域
    植生管理研究室長

    リーダー補佐

  • 酒井 敦の写真

    酒井 敦

    Sakai Atsushi

    国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
    東北支所 育林技術研究グループ
    グループ長

  • 野田 龍の写真

    野田 龍

    Noda Ryu

    秋田県立大学 木材高度加工研究所
    准教授

  • 花井 厚周の写真

    花井 厚周

    Hanai Atsunari

    株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部
本部長

  • 津村 千香子の写真

    津村 千香子

    Tsumura Chikako

    株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部
    シニアチーフエンジニア

  • 村上 勝英の写真

    村上 勝英

    Murakami Katsuhide

    株式会社日建設計 エンジニアリング部門構造設計グループ兼設計監理部門兼テックデザイングループNikken Wood Lab (NWL) ダイレクター

  • 大庭 拓也の写真

    大庭 拓也

    Oba Takuya

    株式会社日建設計 設計監理部門設計グループ兼テックデザイングループNikken Wood Lab (NWL)
    ダイレクター

  • 鈴木 康史の写真

    鈴木 康史

    Suzuki Yasufumi

    株式会社長谷萬 開発本部
    本部長

  • 宮崎 昌の写真

    宮崎 昌

    Miyazaki Akira

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    部長

  • 宮川 敦の写真

    宮川 敦

    Miyagawa Atsushi

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    部長補佐

  • 小出 理博の写真

    小出 理博

    Koide Masahiro

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    室長

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    友部 優紀

    Tomobe Yuki

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    主査

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    澤村 翔太

    Sawamura Shota

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 LCA社会実装部
    室長

  • メンバー画像がありません

    今後 舞

    Imago Mai

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 LCA社会実装
    研究員

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    伊藤 花恵

    Ito Hanae

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    研究員

  • 宇都宮 知治の写真

    宇都宮 知治

    Utsunomiya Tomoharu

    一般社団法人サステナブル経営推進機構 SX戦略事業部
    研究員補

ソウゾウの森会議

秋田の各地でミートアップを開催し、起業家精神を持った若者が対話や交流を行います。